登場人物の年齢層が高いので、流行の若者受けする時代劇風ラブコメとは良い意味で違うドラマです。役者は実力派ぞろい。特に男性主役の(仁祖役)のイ・ドックファが新しいイメージの仁祖を好演しています。またヒロインのヤムジョンを演じるキム・ヒョンジュは「商道(サンド)」が印象的ですが、最近観たドラマでは「家族なのにどうして」でのガンシム役が記憶に新しいところ。
いわゆる「製作費○億円!」の様なドラマではありませんが、韓国人の考え方や価値観が色濃く出ているドラマだなと。
また、印象深いのは嬪宮。この人は立場が似ているせいか、どうもチェ・シェラ演じた「インス大妃」と被る印象があります。まず見ていて「あれ?」と思うのが嬪宮カン氏演じるソン・ソンミの異様な?首の長さ。チェ・シェラも首がなんか長いなあと思ったのですが、もしかしてそういう美容法があるのかどうか。
インス大妃の境遇と立場が嬪宮カン氏の境遇と立場にそっくりなんですよね。だからカン氏はインス大妃を意識しただろうし、女優としてのソン・ソンミもチェ・シェラの演技を参考にしたのか必然なのか。
ストーリーとしての嬪宮カン氏ですが、観ていると若い頃の自分を見ているよう。いやあ、そういえばこんな風に強情だったなと。けれども今や仁祖の気持ちも良く分かる。(そこまで年とってませんが)もうすこし融通利かせてよと思う。
それでもヤムジョンのように根底が恐ろしい人ではないから、良く考えてヤムジョンの提案を受け入れて素直になってみようと仁祖に自らアワビを焼いたわけです。(30話)ところがやっぱりヤムジョンの罠。呆れて言葉も出ない様子のカン氏。
朝鮮の王室って相当な老人がいつまでも権力を手放さないので、頭が固い。そんで世子が新しい概念に希望を持っていてもことごとく頭の固い老人たちにつぶされてしまうわけで。
いや「老害」ですな。
世子はカン氏が言うようにその気になれば清を味方にして王座を得ることができた。しかし「親孝行」という概念が骨の髄まで染みついているので覆すことができなかったからの結果ですね。
考えてみれば歴史には父が子を、子が親を、殺さなくても権力を奪ったシーンは山ほどある。
「イ・サン」では世子に王座を奪われると思った王が息子を殺していますしね。(米櫃に閉じ込め餓死させた。おそらく餓死というより脱水症状ででしょうね。)
2018年04月07日
2018年03月29日
花たちの戦い~宮廷残酷史~ 1話~19話までの感想
はじめに途中から観て面白かったので冒頭話を観たんですけどね。アマゾンプライムビデオにこの作品全話があるのに気付きました。ギャオの更新を待たなくても観られます。というわけで現在視聴中なんですが19話まで見終えました。
感想としては「おもしろい」このドラマはかなり面白い。ヤムジョンのエピソードも面白いですが、このドラマは各登場人物が丁寧に描かれているんですね。
で、仁祖の出番が一番多いのですが普通はヤムジョンの出番が多いと思うのでかなり思い切った演出ではないかと。仁祖演じるイ・ドックァ(だっけ?)」の演技力というか独特の、魅力がこのドラマを特に引っ張ってますね。
この人ってどのドラマに出ても案外同じような雰囲気なのですが不思議にそれが違和感ないんですよ。で思ったのですがこのドラマって「リア王」の雰囲気もあるかなと。
それから脇役ではありますが、嬪宮の強引さはヤムジョンの悪女とは違うけれど強さは似ているなと。王妃も若いのに聡明でありながらよくやってるなと。
ヤムジョン義理父は何度も死にかけながらよくやるなと。
これから世子殺しの真相に迫るのでかなり見どころです。
感想としては「おもしろい」このドラマはかなり面白い。ヤムジョンのエピソードも面白いですが、このドラマは各登場人物が丁寧に描かれているんですね。
で、仁祖の出番が一番多いのですが普通はヤムジョンの出番が多いと思うのでかなり思い切った演出ではないかと。仁祖演じるイ・ドックァ(だっけ?)」の演技力というか独特の、魅力がこのドラマを特に引っ張ってますね。
この人ってどのドラマに出ても案外同じような雰囲気なのですが不思議にそれが違和感ないんですよ。で思ったのですがこのドラマって「リア王」の雰囲気もあるかなと。
それから脇役ではありますが、嬪宮の強引さはヤムジョンの悪女とは違うけれど強さは似ているなと。王妃も若いのに聡明でありながらよくやってるなと。
ヤムジョン義理父は何度も死にかけながらよくやるなと。
これから世子殺しの真相に迫るのでかなり見どころです。
2018年03月23日
花たちの戦い~宮廷残酷史~ 1話~3話までの感想と見どころ
このドラマ、はじめに7~9話から観て意外と面白かったので1話から6話を今観ています。1~3話を観た感想と気付きです。
まず7話から観て想像していたヤムジョンの生い立ちとこれまでのストーリーですが想定したことと違う部分と「だいたい同じ」部分が半々くらいでした。
ヤムジョンは両班の側室の娘ということでしたので、「女人天下」のナンジョンを想像していたんですね。そういえば女人天下と何となくストーリーのエッセンスが似ている部分もあるかなあ。
「女人天下」はちょっと古い韓国ドラマなので、韓国の悲惨さが割と忠実に(と言ってもドラマだからそれでも実際より控えめなんだと思う)表現されてます。例えばナンジョンも両班の側室の娘という立場ですが、両班の側室=奴婢なので、あくまで扱いは使用人で人間扱いされないのが基本です。
でもナンジョンの場合は父が割とかわいがってくれた方で、この時代にしては父の対応はかなりマシな方。(現人気韓流スターが子役でナンジョン兄で登場)それでも服装も生活もまあひどい。ところが最近の韓国ドラマは、そういう事情をかなり盛っています。
このドラマも例外ではなく、両班の側室の娘という設定で母親とヤムジョンは、たぶん「女人天下」の(そいういえば仁祖役のイ・ドックファがナンジョン夫役で出てたんでした。)夫の家が同じ撮影現場です。(他のドラマも多数)そのくらい立派なお屋敷がヤムジョン母娘で身なりもかなり良く、調度品もリッチというあり得ない設定。
で、一方ヤムジョンの恋人ナム・ヒョク宅は落ちぶれた両班宅で貧しい庶民の家並みなんです。それでも身分優勢の時代なのでヤムジョンはナム・ヒョク母から冷たい仕打ちをうけて泣くというシーン。
ただ、ヤムジョン母娘の生活が謎のリッチさなので「ナンジョン」みたいに悔しい思いをしたから「のし上がってやるという動機にいまひとつ信ぴょう性に欠けるんですね。この辺はもっと奴婢の悲惨さを正直に出せば感情移入できるんだけど。
そしてナム・ヒョクがまあ精神的に幼い。単純。早く科挙に合格することより「世の中を変える」と言って武芸のけいこに励みひそかに仲間を集めて稽古するという。世の中を変えるなら科挙に合格して母を安心させ出世するのが先でしょ。武芸を稽古したって単なる喧嘩の延長にしかならない。
それからヤムジョン義理の父が孤島に島流しになり、根性で生き抜いたシーン。これは納得。
それと見どころは第一話で王が清に9回頭を打ち付ける儀式のシーン。これはエキストラがすごい数(CG?)でかなり丹念に描かれ、話は聞いてましたが見ごたえがあります。
これほどの屈辱を受けた王はいないでしょう。
そして元は世子嬪ともうまくやっていたのですが、周りに影響され疑いを持ち始めるんですね。
清のドルゴンは「宮廷の泪・山河の恋」のドルゴンと同じように、器が大きい人っぽく好意的に描かれています。通訳が融通が利く人であるのもちょっと救い。
まず7話から観て想像していたヤムジョンの生い立ちとこれまでのストーリーですが想定したことと違う部分と「だいたい同じ」部分が半々くらいでした。
ヤムジョンは両班の側室の娘ということでしたので、「女人天下」のナンジョンを想像していたんですね。そういえば女人天下と何となくストーリーのエッセンスが似ている部分もあるかなあ。
「女人天下」はちょっと古い韓国ドラマなので、韓国の悲惨さが割と忠実に(と言ってもドラマだからそれでも実際より控えめなんだと思う)表現されてます。例えばナンジョンも両班の側室の娘という立場ですが、両班の側室=奴婢なので、あくまで扱いは使用人で人間扱いされないのが基本です。
でもナンジョンの場合は父が割とかわいがってくれた方で、この時代にしては父の対応はかなりマシな方。(現人気韓流スターが子役でナンジョン兄で登場)それでも服装も生活もまあひどい。ところが最近の韓国ドラマは、そういう事情をかなり盛っています。
このドラマも例外ではなく、両班の側室の娘という設定で母親とヤムジョンは、たぶん「女人天下」の(そいういえば仁祖役のイ・ドックファがナンジョン夫役で出てたんでした。)夫の家が同じ撮影現場です。(他のドラマも多数)そのくらい立派なお屋敷がヤムジョン母娘で身なりもかなり良く、調度品もリッチというあり得ない設定。
で、一方ヤムジョンの恋人ナム・ヒョク宅は落ちぶれた両班宅で貧しい庶民の家並みなんです。それでも身分優勢の時代なのでヤムジョンはナム・ヒョク母から冷たい仕打ちをうけて泣くというシーン。
ただ、ヤムジョン母娘の生活が謎のリッチさなので「ナンジョン」みたいに悔しい思いをしたから「のし上がってやるという動機にいまひとつ信ぴょう性に欠けるんですね。この辺はもっと奴婢の悲惨さを正直に出せば感情移入できるんだけど。
そしてナム・ヒョクがまあ精神的に幼い。単純。早く科挙に合格することより「世の中を変える」と言って武芸のけいこに励みひそかに仲間を集めて稽古するという。世の中を変えるなら科挙に合格して母を安心させ出世するのが先でしょ。武芸を稽古したって単なる喧嘩の延長にしかならない。
それからヤムジョン義理の父が孤島に島流しになり、根性で生き抜いたシーン。これは納得。
それと見どころは第一話で王が清に9回頭を打ち付ける儀式のシーン。これはエキストラがすごい数(CG?)でかなり丹念に描かれ、話は聞いてましたが見ごたえがあります。
これほどの屈辱を受けた王はいないでしょう。
そして元は世子嬪ともうまくやっていたのですが、周りに影響され疑いを持ち始めるんですね。
清のドルゴンは「宮廷の泪・山河の恋」のドルゴンと同じように、器が大きい人っぽく好意的に描かれています。通訳が融通が利く人であるのもちょっと救い。
2018年03月20日
花たちの戦い~宮廷残酷史~ ~10話までの感想と気付き
このドラマ遅ればせながら途中から(7話から)見始めました。主役が心優しくない系だし、男性主役(?)が大御所俳優なので食わず嫌いになっていたんです。しかし主役も男性主役(?)も実力派であるには違いない。それで思い切って見始めたらパターンではあるが、やっぱり面白い。
まず、このドラマは主役ヤムジョンの残酷さがどこから来るのかということ。
政治的背景の柱は、清と明の戦が要であること。
これまで朝鮮はとりあえず明に従っていれば良かったのですが光海君が世子のときあたりに、後金が勢力を拡大して明を脅かし始めた。光海君は後金が優勢とみて後金に付こうとしたけれど、明に味方したい頭が固い官僚らが光海君を廃位。その後仁祖が王になった。けれど明は惨敗で後金が勝利。だから仁祖は屈辱の儀式を行う羽目に。
で、後金(このころのドラマもあるね。恋愛中心だけど)
16代王仁祖は清に人質に行った世子が(と妃)ドルゴンとうまくいき気に入られているらしいということで、やきもきしてるんですね。自分がいつ王座をうばわれるかと。さらに嬪宮(世子の妃)はいい人なんだけど、仁祖の立場とか朝鮮が何より重視する表向きの建前を作るのが苦手のよう。これでは舅に喧嘩を売るようなもの。しかし若いからわからなくもない。周りにうまく間を持つ人がいなかったのも原因でしょうね。世子の母が生きていればまた違っただろうに。
仁祖はしょせん、かつぎあげられた王なので小心者なわけです。だから猜疑心が強い。古いドラマでイ・ヨンエ主演のドラマ「宮廷女官キム尚宮」というドラマでは今は悪役が定着しているキム・ギュチョルという方が光海君を演じています。このドラマは「葵丑日記」という当時幽閉された王妃の女官が書いたとされますが、どこまで真実なのか作られたかも不明。真実と言えば真実だろうし、作られたとすれば光海君を廃位する口実にするため「こんなひどい事あったよ」という目的で書いたんだろうな。
でこのドラマの主役ヤムジョンが残酷になるのは両班の側室の娘である悔しい思いが勃発してるんでしょう。さらに愛とその仕返しの機会のうち仕返し、つまり怒りの方が大きく恋人を間接的に殺してしまう。が、苦労したし、悲しいのは悲しいので生まれたのは娘だったから「何のために最愛の人を殺したのか」ってことでさらに悪事に手を染めるという。
韓国ドラマ時代劇の王道パターンはこれですね。「女人天下」代表に側室(とは名ばかりで実質使用人)この国の使用人とは奴婢だから人間扱いされない。(実際は女性であるというだけでも人気な使いされてない節がありますがドラマはその辺は普通に描かれてますね)
このドラマの見どころはヤムジョンの感情だけでなく政治的背景の真相をどう表現するかにもありますね。世子嬪をあのように描くとは予想外。これは仁祖の疑いをあおっている風だし、世子殺しの真犯人が仁祖ではなくヤムジョンの義父説に持って行きそうな流れですね。
まず、このドラマは主役ヤムジョンの残酷さがどこから来るのかということ。
政治的背景の柱は、清と明の戦が要であること。
これまで朝鮮はとりあえず明に従っていれば良かったのですが光海君が世子のときあたりに、後金が勢力を拡大して明を脅かし始めた。光海君は後金が優勢とみて後金に付こうとしたけれど、明に味方したい頭が固い官僚らが光海君を廃位。その後仁祖が王になった。けれど明は惨敗で後金が勝利。だから仁祖は屈辱の儀式を行う羽目に。
で、後金(このころのドラマもあるね。恋愛中心だけど)
16代王仁祖は清に人質に行った世子が(と妃)ドルゴンとうまくいき気に入られているらしいということで、やきもきしてるんですね。自分がいつ王座をうばわれるかと。さらに嬪宮(世子の妃)はいい人なんだけど、仁祖の立場とか朝鮮が何より重視する表向きの建前を作るのが苦手のよう。これでは舅に喧嘩を売るようなもの。しかし若いからわからなくもない。周りにうまく間を持つ人がいなかったのも原因でしょうね。世子の母が生きていればまた違っただろうに。
仁祖はしょせん、かつぎあげられた王なので小心者なわけです。だから猜疑心が強い。古いドラマでイ・ヨンエ主演のドラマ「宮廷女官キム尚宮」というドラマでは今は悪役が定着しているキム・ギュチョルという方が光海君を演じています。このドラマは「葵丑日記」という当時幽閉された王妃の女官が書いたとされますが、どこまで真実なのか作られたかも不明。真実と言えば真実だろうし、作られたとすれば光海君を廃位する口実にするため「こんなひどい事あったよ」という目的で書いたんだろうな。
でこのドラマの主役ヤムジョンが残酷になるのは両班の側室の娘である悔しい思いが勃発してるんでしょう。さらに愛とその仕返しの機会のうち仕返し、つまり怒りの方が大きく恋人を間接的に殺してしまう。が、苦労したし、悲しいのは悲しいので生まれたのは娘だったから「何のために最愛の人を殺したのか」ってことでさらに悪事に手を染めるという。
韓国ドラマ時代劇の王道パターンはこれですね。「女人天下」代表に側室(とは名ばかりで実質使用人)この国の使用人とは奴婢だから人間扱いされない。(実際は女性であるというだけでも人気な使いされてない節がありますがドラマはその辺は普通に描かれてますね)
このドラマの見どころはヤムジョンの感情だけでなく政治的背景の真相をどう表現するかにもありますね。世子嬪をあのように描くとは予想外。これは仁祖の疑いをあおっている風だし、世子殺しの真犯人が仁祖ではなくヤムジョンの義父説に持って行きそうな流れですね。
プロフィール

性別:女性
一言:主に歴史系アジアドラマ中心です。感想だったり、あらすじだったり、その都度きめ細かくだったり、おおざっぱだったり、とにかく気負わず記しています。大陸と地続きのドラマはやはり面白い。国の価値観や盛っている部分はあるけれど、それを差し引いても、違う着眼点の発見があるからやめられません。最近は韓国ドラマより中国歴史ドラマを観ています。