ほとんど時代劇しか観ないのですが、このドラマは李氏朝鮮時代と現代の場面が交互に現われるので、両方を一度に楽しめます。
はじめ「タイムスリップもの」という設定に、使い古された感があるんではないかとか、どうせ若者向けだろうから、面白くないだろうなとかいう思いを抱きつつ、評判が良いみたいなので観ることにしたわけです。
いや~これ、面白い、というか、素晴らしいです。迷っているなら絶対に観てください。
このドラマの最大の良さは脚本や演出もあるのでしょうけれど、キャストの選択が絶妙な事にあるのではないでしょうか。特にやはり主役の二人です。男性主役のキム・ボンドと女性主役のチェ・ヒジン。二人とも決して美男美女ではなくて、どこにでもいるようなルックスです。
とはいえ、この二人は実は非常に魅力あふれています。
まず、チェ・ヒジンですが、顔は普通なんですね。かわいいけれど。でも、どこにでもいるような並レベルといっては失礼ですが、身近にいるレベルのかわいさです。で、この方が、話し方、表情が本当に素直でピュアで憎めない空気感があるんです。普通、かわいい仕草って、同じ女性から見ると、何か計算しているんじゃない?のような感じがして嫌悪感があります。ですが、この方は不思議にそう感じません。なぜか応援したくなるんです。
そして男性側のキム・ボンドですが、このキャラ設定は韓国ならではの日本にはない得意分野だと思いました。第一にあるのが知性と落ち着き、品の良い優しさです。コンサバな雰囲気のある男性キャラというのは日本のドラマではなかなか見かけることがありません。同時に知性があるからこその品の良さと優しさ落ち着きに繋がっているという設定も日本ではみかけません。日本ではなぜか知性があると嫌みなキャラになってしまうことが多いんですよね。そして、さらに知性だけではなく、武芸に秀でていて家柄も良いという最強の設定です。
普通、タイムスリップものでは違う時代にやってきた人がおろおろするのですが、キム・ボンドは持ち前の知性を活かして最短で次々と3現代の概念の数々を飲み込んで行く様も見所です。
全体を通して観ていると、「癒やされる」ドラマです。
それと初めは何か違和感のある妙に出番の多いヒジンのマネージャーであり親友のチョ・スギョンですが、この人の役割は、いわゆる現実を見せているのではないかという気がしました。
スギョンがキム・ブンドに素性を質問するシーンがあります。「大学はどこ?」「家はどこにあるの?(うわ~高級住宅街じゃないの)」「親は何の職業なの?」「(親は亡くなったと聞いて)何で生計を立てているの?」それでスギョンはブンドが一流の大学院生で、高級住宅街に住み、元官僚の両親を持ち、今は莫大な遺産で生計を立てていると聞いて驚くとともに満足するというシーンです。
このスギョンの質問と反応こそが、きっと韓国の女性が男性に求める願望なんでしょうね。けれども、現実は自分の生まれ、収入や家柄によって阻まれる事が多いのでしょう。そこにタイムスリップで300年前のエリート男性との恋ならば・・というドラマの登場というところではないのでしょうか。
つまりヒジンと行動を共にしているスギョンこそが現実、そしてヒジンは夢を叶えてくれる架空の様な人物。そんなイメージを持ちました。
とはいえ、そんな風に余計な解釈をしなくても素直にドラマを観て泣いて笑ってホッとしてハッピーな気分になれれば十分だと思います。
2015年03月21日
プロフィール

性別:女性
一言:主に歴史系アジアドラマ中心です。感想だったり、あらすじだったり、その都度きめ細かくだったり、おおざっぱだったり、とにかく気負わず記しています。大陸と地続きのドラマはやはり面白い。国の価値観や盛っている部分はあるけれど、それを差し引いても、違う着眼点の発見があるからやめられません。最近は韓国ドラマより中国歴史ドラマを観ています。