全話のあらすじ
ホルチン部の首長の娘。ユアルは、はじめホンタイジを愛しました。ドルゴンから想いを伝えられていましたが、拒否していました。
そのうち、偶然、後金の皇帝、ヌルハチの死に目に居合わせ周囲から問い詰められたので、「後継者はホンタイジと言っていた。嘘ではない。」と言い、嘘をつけば「生涯、夫に愛されず、子に背かれる孤独な人生を送ることになる」という伝説を受け入れたことと、(ホルチン部の女性が最も恐れることでもある)ドルゴンがすぐにホンタイジを皇帝と認め、争う気配を見せなかったためにホンタイジが皇帝となります。
そのうち、叔母のジャジャがホンタイジに正妻として嫁いだのを機に、ユアルと腹違いの姉のハイランチュウとともに宮廷の叔母の元で暮らすことになります。
ホンタイジは密かに、ハイランチュウを愛していました。そこではじめにユアルを娶ります。ハイランチュウは婚約者に戦死され、記憶をなくして発見されたものの、極秘にホンタイジが放った刺客により殺されます。
そこでハイランチュウは、やむなくホンタイジに嫁ぎ、ユアルをしのぐ寵妃となります。
しかし、次第にユアルの初めの見極めが間違っていたと気付いていきます。ドルゴンはみるみる頭角を現し、幾多もの戦に勝利する凄腕で、民の評判も上々でした。
しかしホンタイジは、ドルゴンに嫉妬したり警戒したり、ユアルとの仲を疑います。ジャジャが巧みにホンタイジの嫉妬心を振り起こさせて、ユアルが気付かぬように流産させてしまいます。
次第にユアルは変わりなく自分を愛し、支えてくれるドルゴンと本気で心で愛し合うようになります。
ホンタイジはユアルを本気で愛しておらずハイランチュウへの想いは代わりありませんでした。それでもユアルがドルゴンと結びつきそうな気配を許せないようです。
ホンタイジはハイランチュウを皇后にして、生まれたばかりの皇子を皇太子にすると言い出しました。周囲の激しい反対にあいますが、ホンタイジは強行突破します。しかし冊封の直前、ジャジャがハイランチュウに元婚約者のチュリンを殺したのはホンタイジだと言います。
ハイランチュウは錯乱して子供を抱いて階段を転げ落ちます。子供は死亡、ハイランチュウは2年の眠りにつきます。
その間、ユアルには皇子(フリン、後の順治帝)が生まれます。ハイランチュウが意識を取り戻し記憶を失っていましたが、ホンタイジの深い愛を受け入れ、再び身ごもります。しかしホンタイジが遠征で留守の合間に、再びジャジャが真相を告げると一気に記憶がよみがえります。
するとハイランチュウは自ら命を絶ちます。ホンタイジに愛する者が逝ってしまう悲しみを味わわせる復習だという遺言を残して。
ホンタイジはショックで倒れ、これを機に病に伏せます。同時にユアルにフリンを会わせる事を禁じます。
数年後、ホンタイジは危篤の直前、ユアルとフリンを再会させます。そして「この子は心の病にかかっている。治るには長くかかる。」と言いますが、特に問題は見当たらず、ユアルは意味がわかりませんでした。
そして亡くなると、次期皇帝にドルゴンの名も浮上しますが、フリンが即位してドルゴンが摂政王として補佐することになります。
成長したフリンは、ユアルの兄の娘を皇后として迎えますが、全く相手にされず、自ら日々、毒を飲み続けついには亡くなってしまいます。
フリンが寵愛したのはワンニンでした。他の妃との間に後の康煕帝である皇子も生まれていましたが、ワンニンが6年後、ようやく身ごもるも早産します。ワンニンとフリンは祈願で寺を訪れていますが階段から落ちて死亡、同じ頃に皇子も亡くなります。
フリンは深い悲しみに陥り、一切の気力を失います。その後、行方不明に。ところが発見されたので、ユアルと侍女、宦官が寺に行くとフリンが僧侶の姿でたたずんていました。ユアルは、若かりし時に「ヌルハチが後継者としてホンタイジの名前を告げた」そして「嘘を言えば生涯夫に愛されず、子に背かれ孤独な生涯を送る」事が現実になったことを悟ります。同時に、ホンタイジが死に際に言っていた「フリンの病」とはこのことだったことも。
フリンは宮廷に戻ることはありませんでした。そして急遽、フリンは病で死亡したことにしてまだ幼い皇子を康煕帝として即位させます。
ユアルは宮殿の一角にたたずみながら「私の生涯は思い通りになったとは言えない。けれども全て自分で選んだから後悔はしない。」と空を眺めました。
感想
はじめ、このドラマの主役はハイランチュウなのかと思っていました。中国ドラマって、主役がわからない物が割とありますよね。
もっとも、それは最初の頃のホンタイジが、かっこうよい感じだったからです。(私の好みの問題ではなくて、キャラとして)そして身のこなしも鮮やかだったし。だから、男性主役?と勘違いしたホンタイジに愛される=ハイランチュウが主役と思ったんですね。
そして初めの頃のドルゴンは馬鹿っぽいキャラだったのです。ユアルも同じでした。
ところがホンタイジが即位すると、その印象が逆転します。さらにはユアルとハイランチュウの立場も逆転。ただ、ハイランチュウはいつまでも過去のことを根に持ってイジイジしている感じなのに、ユアルは割り切りが良くて、つまりは性格が良いわけです。
どんなに逆境に立っても、基本、清廉潔白なキャラ。でも観ていると、だからこそ何となくうさんくさく感じて「そのうち性格が変わるんじゃないの?」と思っていましたが、一時的にそういう時期は合っても、すぐに戻るんです。
その点、ジャジャあたりは、一番現実味があると思いましたね。ユアルは何だかできすぎている感じで。
ただ、最終的には予言の通りになってしまったという嘘をついたしっぺ返しを食らった形になりました。
ホンタイジが死んだ時点で終わりかと思ったら、まだ続きがあった。フリンのエピードって何でわざわざくっつけたの?と思ったのです。視聴率が良いので無理に引き延ばしたのかと思ってました。
でも最終回でその謎が解けます。フリンとワンニンのエピソードは不可欠だったのです。ハイランチュウ似(でも性格は違う)のワンニンが登場します。最後は細かい状況は違うけれど、フリンも軽いように見えて実は父のホンタイジと同じような心の傷みたいなものを背負っていたのですね。
権力とか、そういうものよりも愛を一番欲していたというわけでしょうか。
最後、あの軽いフリンが別人のようになり、寺で髪を剃られ仏門に入り、ユアルと再会しても一切変化のない様子にはびっくり仰天でした。
調べてみたら、そういう伝説があるそうなんですね。史実では24才でワンニンが亡くなり、その翌年に順治帝が天然痘で死亡したことになっています。
天然痘で死んだなら、周囲に人を寄せないし、遺体は焼くし、人に見られることもありません。実際はどうかわかりませんが、そう言われればつじつまが合いますね。
それにしても、最後のユアルの言葉、「思い通りにはならなかったけれど、自分で選んだ道だから後悔しない。」と、力強く言っている様は、こういうところが中国っぽいと思ったのでした。そして、この終わり方の余韻ってどこかで観た気がしたのです。で真っ先に思い出したのが「風とともに去りぬ。」もちろん、ストーリーもセリフもキャラも全然違うんですよ。でも、全てを失っても(愛として)何となく共通する女性の生き様の太さ、強さ、前向きさみたいなところが似ていると感じました。
日本だったら、感傷に浸って終了、自分を反省する・・みたいな流れになりそう。
初めは、どろどろした女性向けのドラマと思っていましたが、最後まで観て初めて良さを痛感するドラマです。
人は立場などでいろんな見た目があるけれど、一番必要としている大事な物は何か?を深く突いている作品ですね。
途中のエピソードは変化があり、見た目に華やかなので飽きることがありません。話数も多くなく、観やすいドラマです。
2015年12月07日
プロフィール

性別:女性
一言:主に歴史系アジアドラマ中心です。感想だったり、あらすじだったり、その都度きめ細かくだったり、おおざっぱだったり、とにかく気負わず記しています。大陸と地続きのドラマはやはり面白い。国の価値観や盛っている部分はあるけれど、それを差し引いても、違う着眼点の発見があるからやめられません。最近は韓国ドラマより中国歴史ドラマを観ています。