不滅の恋人(韓国歴史ドラマ・全20話)最終回・全話感想

この物語は、けっこうドラマで描かれている第7代王「世祖」となる首陽大君(スヤンテグン)が甥の第5代王端宗の王座を奪った物語をベースにしたと思われます。

モデルになった史実の人物は・・

首陽大君(第王世祖)
男性主役、弟の安平大君(アンピョンテグン)
譲寧大君
第5代王文宗
第5代王端宗
その母キム氏

・・など。

一見、甘々な10~20代女性向けの歴史風恋愛ドラマです。
けれどもこのドラマを評価する最大のポイントは、譲寧大君が首陽大君によるクーデターの黒幕という点。
それと架空ならではの適当さが所々に見受けられますが、それぞれのキャラが際立ってそれぞれの役者さんは好演しています。

特に魅力的な役者さんは
独断でランキングを上げます。

第一位 チニャン大君
第二位 大王大妃シム氏
第三位 チャヒョンの母
第四位 ルシゲ
第5位 ヤンアン大君

もちろん、このほかにも好演した方は大勢います。


実はこの件、以前「王女の男」を見たときに気づいたのです。ドラマには出てきませんが、「あれ?そういえばこのとき、譲寧大君が生きているよね?王族の長老で世宗の兄が反対すれば、首陽大君はなかったはず。ということは世宗が即位したあと、恨んでいたのかもしれないと踏んでました。ただ、そのことを描いているドラマは知る限りでは皆無でした。ところがこのドラマでは初めて譲寧大君黒幕説が描かれました。なぜ譲寧大君が世子を下ろされたか不明とされていますが、一説には「本人が継ぎたくなくてわざと問題起こしまくった」とされていましたが、譲寧大君があるとすれば、そうではなかったことになります。譲寧大君が首陽大君クーデターの黒幕とあれば、それを描いた貴重なドラマとなります。

ヒロイン、チャヒョン演技もまあまあ好演していますが、残念だったのはチニャン大君に少しも同情するそぶりがなかったことです。男性主役のウンソン大君と3年も離れていて、その間何度となくウンソン大君から口説かれていて、その合間にほかの人には見せない弱さ、背景をチャヒョンには見せています。となれば普通の女性はウンソン大君はさておき、人間として女性はその切なさに同情するし、又多かれ少なかれ心が揺れるもの。それがウンソン大君への裏切りというわけではなくて、人間とはそんなものです。ところがチャヒョンは一貫して怒りのこもった怖い目つきを変えません。それに違和感を覚えた最大の原因です。

男性主役のウンソン大君は史実では首陽大君から流刑され賜死しています。ドラマでは大王大妃シム氏により、野心を懸念されたチニャン大君だけが王宮を出されたことになっています。いっぽうで史実では世宗(あのハングルを生み出した偉大な王であり安平大君らの父です)によって首陽大君と安平大君が王宮を出されています。

ドラマでは首陽大君だけが野心があり、ウンソン大君は幼い王の味方として描かれています。けれども流れとしてそれはあり得ないわけで、はじめは幼い王を楯に決起したとして、その後はやっぱりウンソン大君に玉座を求める流れになるのが普通。その辺のきれいごとっぽさがちょっとお粗末な感じでした。

ただ、しいていえば最後のシーンがかなり標高高い場所で二人で絵を描いています。まるであの世みたいにも見えます。見ようによってはドラマの途中からは、現実ではなく、チャヒョンもウンソン大君も死んでいて、二人の理想の世界を描いているとも解釈できます。

そう考えるとラストはウンソン大君が王宮に侵入してからチニャン大君と二度剣を向き合っています。もしかするとここで、死んだとも取れます。

ルシゲにラストの覚えたフィの血でぬれた手で書いた文字。これは冒頭のウンソン大君が書いた血文字をルシゲが大妃に渡すわけですが、その文字とリンクします。

それにしてもルシゲは女真族の族長の娘で母が朝鮮人だと言っていました。ところが女真族の使者の通訳をしたくらいしかこれといったエピソードなしでがっくり。話数が足りなかったのかな?交換条件にウンソン大君と婚姻話とか出たら面白そうだとおもいましたが、ありませんでした。

チャヒョン母、アン氏のキャラ設定はよかったです。

チャヒョンの侍女クッタンは、いじわるそうな気配がプンプンしていて、チャヒョンと並んでいるとクッタンがお嬢様みたいでハラハラしました。ところが実質意地悪役はチニャン大君に嫁いだナギョムが演じているので、枠は埋まってました。

ちなみにラストではチャニョン兄の科挙合格もできておらず、クッタンはたぶん、屋敷の使用人と結婚したようです。

チニャン大君がなくなり10年後、ナギョムは病気らしく、娘をチャニョンに託しています。姿を見せずに昔仲良かったころにそろえたノリゲを持たせています。心ではチャヒョンとの友情を大事にしていたということでしょうか。

そしてウンソン大君は端宗(?)元上王の摂政を10年務め、そろそろ引退を考えています。同時にチャヒョンの、おてんばないとこが王に気に入られそうな気配でめでたしという感じで終わっています。

ちなみにルシゲがなくなってからキトゥクがこっそりおでこにキスしています。ルシゲに自分と暮らそうと言ったキトゥクですが、ルシゲはウンソン大君一筋ですからね。チャヒョンと初夜を迎えそうなことを知っていたキトゥクが「今夜は話が終わらない」というあたりが悲しいですね。(キトゥクは宦官なのです)

全体的にドラマを見た瞬間、ベースにあるドラマは「王女の男」だと感じました。王女の男は一応、史実ベースで恋愛を取り入れつつも緊迫感があります。対してこちらはあくまで架空で、「もし、首陽大君クーデターが失敗したら?」の世界です。

全20話なので見てもよいと思います。特に若者系恋愛ものが好きな方はおすすめです。





プロフィール

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ran
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一言:
主に歴史系アジアドラマ中心です。感想だったり、あらすじだったり、その都度きめ細かくだったり、おおざっぱだったり、とにかく気負わず記しています。大陸と地続きのドラマはやはり面白い。国の価値観や盛っている部分はあるけれど、それを差し引いても、違う着眼点の発見があるからやめられません。最近は韓国ドラマより中国歴史ドラマを観ています。