2022年04月21日

明成皇后(ミョンソンこうごう)韓国ドラマ 63~70話 感想

いやあ、びっくりしました。
地味なドラマだと思って見ていたら、中盤の60話代のハラハラドキドキがすごいです。
同時に大院君の傍若無人っぷりに開いた口がふさがらず。
そして朝鮮王朝末期にこんなゴタゴタがあったことにも広い意味で驚きました。

それから、驚き発言がさりげないセリフで発せられて驚き。
それはまだゴタゴタ前のとき。
王妃がホン尚宮に何げなく尋ねるのです。
つまりは王と夜伽をしたことがあるか?ということ。
王とは王妃の夫である高宗でしかありえないわけで、
ホン尚宮が言いにくそうにして平謝りモードだったんです。
すると王妃は平静を装いながら
「私より早く入宮しているから、それもありえるだろう。」
とホン尚宮が言いにくそうにしていることを視聴者に説明しているわけです。
これも驚きました。

王妃は「王宮の女官の誰もが王一人を見ている。」
というわけですが、その一人にまさかのホン尚宮も含まれているとは。
もちろんホン尚宮は王妃が婚姻して入宮してからはそんなことはなかったようですが、
ホン尚宮は、まかり間違えれば李尚宮だったかもしれないということでした。

宮廷の女官には当然、夜伽をしたことはあっても
一度きり声の女官も大勢いるわけです。
一度だけとは限りませんが。

そしてこの、ほとんど中盤のセリフにない見どころは、
ホン尚宮の兄と王妃です。

ホン尚宮の兄が初めて王妃の前に出たとき
王妃は御簾を上げてしばらく文を書いていました。
推測ですが、王妃は容姿に自信がありホン尚宮の兄が
自分に一目めぼれすることを少し想定したような気がしています。
実際、ホン尚宮の兄は王妃に「命をかけられるか」と尋ねられて
なんの根拠もなしに「命をかけます」と答えています。
王妃はこのとき、まじめだけど機転が利かない頭も余りよくはない
ホン尚宮の兄を、ちょっと小ばかにしていたわけです。

ところがホン尚宮の兄はここで大活躍。
そして王妃は自分を背負うホン尚宮兄の背中をしみじみ見て
頼もしいというようなセリフをはいています。
そして途中、立ち寄った家では、王妃の足を気遣い足を洗うホン尚宮兄に
王妃は幼いころ見た庶民の農夫婦が足を洗う様を話します。
王妃はこの時、高宗にはない男らしい男であるホン尚宮兄に
一瞬でも女として魅力を感じたのには違いありません。
一方ホン尚宮兄は、職務を超えて王妃を守ろうと決心しているとみて取れます。

王妃の足を洗う様子の声と影に気づいた
逃走を助ける人らは、ホン尚宮兄に
「おいっ(けしからん)」
と乗り込もうとするのですが、もう一人の男は
ジェスチャーで「そっとしておけ」と止めています。

色々大変な逃走なので王妃もホン尚宮兄も
このくらいの潤いは必要と言えましょう。
見て見ぬふりです。

本来はこの時代、身分の低い男が身分の高い女性の足をじかに触るなどと
もってのほかで下手をすれば死罪レベルだったでしょう。

そして王妃は、ことあるごとに夫の王の心配するセリフを吐きます。
これはおそらく、ホン尚宮兄に対する気遣いと自分がぐらつかないための
セリフであるようにも思えます。

この大変な逃走劇中、場合によってはこのまま
本当に王妃とホン尚宮兄が庶民の夫婦として生きる道もあったでしょう。
王妃もホン尚宮兄も一瞬は考えたはず。

ただ、これはあくまで私の勝手な推測で
セリフになっているわけではありません。

さて70話くらいでようやく展開が見えます。
王妃は王宮に戻る決心をします。
どのような作戦なのか。
ここでキーワードになるのは大王大妃です。

このドラマでは数々の謎事件が起きますが
大王大妃が吐くセリフに真実のヒントがあります。

(大王大妃アップの目力がすごくて笑ってしまう)

大院君はなにかあるごとに「国のため、王のため、欲ではない」
「疑われているが違う」といいますが
『大王大妃のセリフが真実の法則』というこのドラマの
パターンから推測するに大院君はかなりしたたかものです。

そして高宗とその兄が気が弱くて優しいので
大院君はやりたい放題。
ドラマ上、王妃は気弱な夫の補佐をするしかないので
やむなく少し表に出てしまうと
それが大院君はおもしろくないわけです。

この時点で大院君は60歳くらいのようですが
この時代の60歳といえば、余命もわずかだったはず。
ところが権力に未練たらたらでふつうは隠居するはずが
「親孝行」という儒教の教えをかさに着つつ
王である息子を抑えていいようにしようとするんだから
めちゃくちゃです。

しかもクーデターの際に必要な兵は
民の不安要素をあおり、それをきっかけに
暴徒と化した人を利用して自分が実質王になったようなもの。

この時世界は大きく動いているのに
小さい自分の権力と「国のため」という名分のもと
古い体制を守ることを死守しようとするさま。


それからこの回で知った韓国人の習慣ついて。
葬儀で「哭する」ということ。
セリフで何度か出てきますが、例えば誰かがなくなると
声を上げてジェスチャー交えてわんわんなく様子がよくドラマにあります。
あれば「哭する」というれっきとした葬儀関連の儀式のひとつだったんですねえ。

チャン尚宮が王妃の(死んでいない)葬儀でどうやったら
魅力的に哭できるかと笑顔で語っています。

そういえばホン尚宮はチャン尚宮から拷問受けてしまいました。
ただ火のしをあてられる瞬間、セーフで高宗兄が来て拷問止めてセーフでした。

とにかく60話代は見所多めです。

posted by あらすじべや at 20:08| 明成皇后 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
プロフィール
名前:ran
性別:女性
一言:主に歴史系アジアドラマ中心です。感想だったり、あらすじだったり、その都度きめ細かくだったり、おおざっぱだったり、とにかく気負わず記しています。大陸と地続きのドラマはやはり面白い。国の価値観や盛っている部分はあるけれど、それを差し引いても、違う着眼点の発見があるからやめられません。最近は韓国ドラマより中国歴史ドラマを観ています。