ウブンヨウ率いる周は斉を攻める前に待機していました。ダンショウが処刑されるらしいと連絡が入ったので、様子を見守っています。
雪舞は蘭陵王を神妙な思いで送り出しました。しかし、雪舞は密かに行動に出ていました。テイジの前に仮面の義士が現れたかと思うと小さい爆弾が爆発して姿をくらましました。かと思うとテイジの首に刀を突きつけます。ところが仮面を取ると現れたのは雪舞でした。
雪舞は「殿下は高緯と差し違える覚悟に違いない。身内をあやめて生きていられる人ではない。殿下は国のために必要な人。だから私が犠牲になる。高緯はどこ!?」
テイジは「私を殿下が愛さないのはわかっていた。おまえは全てを持っている。殿下にも愛され民には天女とあがめられ愛された。ムチで肉が避けるまで打たれる痛み。前進に油を注がれて火を付けられる事におびえる苦しみ、汚い男に襲われる苦しみ。そんな苦しみも知らないくせに。」といいます。
雪舞は「殿下が一番愛しているのは民。」と答えます。そこに蘭陵王が入ってくると、城の上から弓矢が2本飛んできます。弓矢は雪舞とテイジに刺さりました。雪舞は「毒矢だわ。」とつぶやきます。蘭陵王はテイジを抱きかかえ医師へ見せようと走っていきます。
倒れているテイジのところに高緯が現れます。そしてテイジの袂から毒を取り出しふたを開けると全てを自分の口に入れ飲み込みます。高緯は「おまえが私の事を思っていないのは知っていた。けれどもいつか心が動くかもしれないと思った。」そう言って血を吐きながら袂から一枚の紙を取り出しました。それは昔テイジが侍女だった頃、字を教えるためにコオロギを書いたときのものでした。高緯はそれを見て笑顔で絶命します。テイジも同じく命がつきました。
都では高緯が出した命令で兵が民を幽閉して火を放とうとしていました。そこに蘭陵王一行が現れて「高緯は死んだ。兵は国へ帰るが良い。もう高家の支配は終わった。」と言うと兵は喜び、散っていきます。無事に民は解放されます。そしてウブンヨウが入場しました。
しかし、ウブンシンキョから雪舞の死を知らされると、重臣らを後ろ向きにさせます。ウブンヨウは涙を流し耐えきれずに声を上げて膝を落として号泣しました。
また、アントク王のナレーションで、「兄上と姉上、平安を見た物がその後誰もいない。」ということですが、数年後(5年後くらい?)雪舞の墓の前で蘭陵王と平安がたたずんでいます。蘭陵王は最後に雪舞が買った服に刺繍が施された着物を着ています。これからどこかに出発する・・ような雰囲気で終了しました。
ナレーションにより、ウブンヨウはそれから2年後命を落とし、楊ケンが引き継いだ後に隋を建国した。蘭陵王子孫に当たる人物が蘭陵王夫人の墓を建てた痕跡が1999年に発見されたので、蘭陵王の子孫が生きていたと判明した。ということです。
感想
蘭陵王、雪舞の人柄がとことん善良で美しいこと。それを支えるアントク王、カンキョウトウ、ショウスイ、なども善良で見ていて微笑ましいこと。ウブンヨウの人柄も魅力的。
ただし、前半はそうした良さが全面に現れていて良かったのですが、後半は雪舞ではなくテイジでストーリーが動く印象です。これが個人的におもしろくありませんでした。蘭陵王と雪舞中心のエピソードは良いのですが、テイジがらみのエピソードは昔の少女漫画チックで嫉妬、ねたみ、陰謀の繰り返しです。こういうエピソードは見飽きているので、「もうたくさん」というのが正直なところ。
一見、テイジの演技は上手に見えますが、嫉妬、怒りなどの演技はやりやすいのではと。雪舞のような善良な人物の演技は思った以上に難しいはずです。(ガラスの仮面の受け売り)最後のシーンで雪舞とテイジが同時に矢に射られたとき蘭陵王の性格なら二人を助けようとするかと思い来やテイジを放って雪舞を抱きかかえて出て行ったのは意外でした。さらに雪舞の最期の言葉「私より美しく賢い女性を娶らないで。いつまでも私を忘れて欲しくないから。」と天女らしからぬ普通の女性の発言にもちょっとびっくり。まあ、さすがの雪舞もテイジには散々嫉妬しましたからね。
雪舞の軽はずみは行動が危ない状況をたくさん作っていますがドラマなので仕方ないんでしょうね。
最初の頃に雪舞が蘭陵王の育った庵で見えた「蘭陵王とテイジ似の女性が高緯らしき人物から毒を飲まされている図」は、雪舞が現れなければ起きる将来だったのでしょうか。
高緯がテイジが何年も前に描いたコオロギの絵を持っていたのも哀れでした。元々普通の人なのですが分不相応な立場に生まれてしまったのが不幸を招いてしまったということでしょうか。
ウブンヨウの姪のウブンテイは結局、そのあと何の関係もなかったようですね。
最後はバタバタと終わり適当な印象でした。
ドラマではウブンヨウの死はソテイに毒を盛られた事になっていましたが、普通に考えれば楊ケンが怪しい?この時代、どんな裏切りや陰謀があってもおかしくない感じです。なんといっても実の兄弟、親子で殺し合っていますから。
楊ケンが雪舞の祖母の林氏から一連の流れを聞いていたことも最終的に隋の皇帝になった要因なのでしょうか。けれども、最後に先に死んだのは蘭陵王ではなくて雪舞だったというのも無理矢理な感じ。あそこで死ぬ理由があるのかと。
蘭陵王はかつて毒矢を受けても数日持ちこたえていたのに、雪舞はあっさり死亡・・?
隋が建国されて、初代皇帝はともかく2代目のヨウダイが、高句麗を得るための戦に失敗して疲弊したらしいですし、その後の皇帝のイ・セミンも何度も失敗していますが、そこまで高句麗にこだわったのは「高氏」の国だったからということはないのでしょうか。斉の皇族と何か関連があるから何とかしたかったということはないの?改めてドラマ「朱蒙」を良く思い出すと初代王のチュモンの出目が今ひとつ不明瞭ですよね。
扶余の王の庶子として育てられたことになっていますが、実際は扶余王の息子なのか、父がヘ・モスという人ですが、母の素性も今ひとつ不明瞭。伝説みたいなのがあってチュモンの母が卵を産んでそこから生まれた・・となっているようですが、これは出目を隠す意図があるということはないの?
全体としてとても良いドラマでしたが、前半のノリがもっと多ければ良かったと思います。吹き替え版で視聴しましたが、中国語でも見てみたいかも。でも日本語吹き替えは違和感なく、皆さん上手だと思いました。